
牧場から届いた一頭分の羊毛を、
首、肩、背中、おなか周り、おしり辺り…と
仕分けして洗い、それぞれに紡いで糸に。
私のおしりをひつじのおしりで、背中は背中、
おなかはおなかでそれぞれ温めてもらう、
羊毛を洗い糸を紡ぐことを覚えてからずっと作りたかった、
ひつじをそのまままとう、
ここちよいセーターが出来るまで。
むくむくぽわっと弾力があり、糸にするととても軽い仕上がりだったタウリンの羊毛。
刈られた羊毛は広げると、首の方からおしりの方まで、つながっています。
この写真は上が頭の方、下がおしりの方。
他と毛質が違うおしりの毛がその向きを教えてくれます。
おおまかに部位ごとに仕分けしていきました。
この子がタウリン。
三重県のひつじみかん牧場で暮らす、 当時6歳の男の子です。
子供のころ元気いっぱいだったからこの名前が付いたのだそう。
お世話になっている牧場の羊飼い北見さんがいつも
毛の持ち主のひつじと その暮らしぶりについて
とても楽しく教えてくださいます。
タウリンの羊毛は、ぽんと弾んでとってもすこやかでした。


羊毛を糸にしていく流れはこうです。↓
牧場からいただいてきた羊毛はすぐに広げ、
毛質や汚れ具合などによって仕分けして、
かたくなったり、黄ばんでしまったりしないよう、できる限り早く洗いきります。
その日から天気予報とにらめっこの日々。
お天気の良い日は洗毛日和です。

2度の漬け込みを終えたら
ひと房ずつ手に取り、毛先の
汚れまで丁寧に落とします。
羊毛の脂分を落としすぎないよう、羊毛の毛質を見ながら調整して洗います。

乾いてほぐしたところです。

道具を使い、
毛の流れを整えていきます。

紡ぎ車で撚りをかけ、糸にしていきます。





紡ぎあがったらかせにあげ、ぬるま湯に放ち、干して撚り止めをしたら、糸の完成です。





仕上がったタウリン の糸を
玉に巻き、編み始めました。
編みかけを入れたかごの底には
いつもセーターの糸計画メモが。
どんどん編んでいきます。
肩の毛を紡いだ糸で
肩を編んでいるところ。
ひつじのセーターが
編みあがりました。

タウリンの羊毛は作業を進めるたびに、なんて健やかな毛なんだろうと思いました。
牧場主さんのひつじたちへの愛情を、どんなときも感じます。
毛糸は柔らかいものが最高と思われることが多いかもしれませんが、例えば靴下のかかとには繊維の太い羊の毛でできた糸を、
例えばセーターにはタウリンのようにむくむくと膨らんで空気を含み、軽く仕上がる糸を、そしてやはりどうしたって惹かれてしまう
柔らかな糸は、首まわりなどの肌に触れるアイテムに。
そんな風に糸をひつじという視点から選んでみると、
暮らしがぐっと心地よくなる。
ひつじから糸を選んでみるということは、心地よい暮らしにとてもおすすめです。
・編んだセーター:白いガンジーセーター(三國万里子さん『編みもの修学旅行』より)