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ぼっかのこと

ずっとずっと、ひつじが好きでした。

大好きな丘に広がるみどりいろに一番映える生き物は ひつじだと思っていたのです。

北海道で暮らした数年の間に、いくつもの牧場をめぐりました。

初めて毛刈りをさせていただいた羊毛を一頭分、持ち帰って洗ったことが、私の羊毛との関わりのはじまり。

世界には3000種以上ものひつじがいて、太く硬く、カーペットにもってこいの強い毛のひつじもいれば、

細く柔らかく、皮膚の薄い首まわりにあてていてもチクチクしない優しい毛質の子もいる。

肉や乳、毛にとどまらず、他にもたくさん、人間がひつじから受けている恩恵はあまりにも多く、

もっと知りたい、もっと知りたいと、牧場のそばを離れてからは紡ぎを始めながら図書館にこもる日々。

調べれば調べるほど出てくるひつじの魅力に、私はみるみる飲み込まれていきました。

牧場をめぐっていたころ、覚えたてだった編み物をしながら、ふと思いました。

編み物をする方々は、この糸がひつじの毛から出来ているってこと、どのくらい感じているのだろうか。

頭でわかっていたとしても、意識して編むことはそんなにないのかもしれない。

ただ糸は糸としか捉えられていなかったならば、ひつじ好きとしては少し寂しく、もったいなく感じたのです。

それに、自分の手の中にある糸になった毛の持ち主がどんな子かわかったなら、きっと編みもの時間はもっと楽しい!

編む方々に、そんな糸を届けたいと強く思いました。

毛糸はひつじから出来ているんだよーってこと、頭の中だけでなく肌からもっと感じられるような糸を。

羊毛を仕分け洗うところからすべて 一人の手作業で行っており、

そのためたくさんの量をうみだすことは出来ませんが、ひとつひとつ丁寧に、

編む方がいつもとは違う感覚で編み物を楽しんでいただけるような糸を紡ぎたいと思っています。

手もとで編んでいる糸になったひつじに会いに、牧場へ行きたくなるような、

うまれたての糸を、どうか みなさまに。

​広い放牧地で私に追われる仁宇布のひつじたち

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